観る・読む・聴く

  • 世田谷パブリックシアター+KERA・MAP#009『キネマと恋人』を観劇してまいりました。本作は3年ぶりの再演で、原作のウディ・アレン監督『カイロの紫のバラ』もございますので、ネタバレ気にせず書かせていただきます。これからご覧になる方はどうかご注意くださいませ。

    演出はケラリーノ・サンドロヴィッチさん、主演は緒川たまきさんと妻夫木聡さん。1935年、発声映画になったばかりの日本が舞台。映画が大好きなハルコさん(緒川たまきさん)の元へ、スクリーンから憧れの俳優・高木高助扮する“間坂寅蔵”(妻夫木聡さん)が飛び出してきて大騒動というファンタジーです。

    冒頭から、喜劇映画研究会初代会長だったケラリーノさんの無声映画コメディ愛に心躍ります。妻夫木聡さん扮するミュージカル・コメディアンを目指す高木高助が憧れるのはハリー・ラングドン…!パンフレット情報によると小道具の切符にはきちんとラングドンのお顔が印刷されているそうです。観客には全く見えません(笑)

    ヒロインがあの独特な役作りのまま3時間半の舞台をこなすってとても技術のいることだと思うのです…緒川たまきさん、素晴らしかったです。今の舞台って、こんなにすごいの?!と感激した映像との融合。アートディレクターってすごいんだな~!

    写真はパンフレットの表紙です。喜劇映画研究会現代表、おなじみ新野敏也さんも対談されています。どのページも充実の内容で、どのようにこの隙のない完璧な舞台が作りあげられていったのか興味深く拝読しました。

    劇場の帰り道はハルコさんがかわいそうで、切なかったです。しかしやがて、ハルコさんがたとえ愛する高木さんと一緒に“東京”に行けたとしても幸せになれたかな?そもそも高木さんはハルコさんなしで俳優としての成功を維持できるのかな?ピンチなのはむしろ高木さんの方なのでは?などあれこれ考えました。そのくらいどの俳優さんも舞台の上で“生きて”いました。

    先日取材していただいた「映画と。」の記事で「まるで『カイロの紫のバラ』のワン・シーンを観ているかのようであった。」と私の弾き語り活弁を、偶然にも『キネマと恋人』の原作をあげて評していただいたことを、あらためてたいへん嬉しく感じました。

  • 映画『僕たちのラストステージ』の公開が今週で終わる映画館が多いようです。(地域によってはこれからの公開です!)私がマスコミ試写で拝見したときの感想はこちら。劇場公開のパンフレットには、マスコミ試写でご一緒した喜劇映画研究会代表の新野敏也さんの解説や、劇作家のケラリーノ・サンドロヴィッチさんのインタビューが掲載されています。裏表紙もときめくデザインなので掲載しました。

    新野さんの解説は殊にトーキー時代の元ネタについて初めて知ることばかりでした。 弁士にとってはもはや映画のパンフを超えた貴重な資料になっています。 コンビが一度だけ別の相手と組んだ様子は、映画ではパッとしない、若干ミーハー気質なコメディアンとして描かれていたのですが、実際はハリー・ラングドンだったのですね…!パンフレットには「ふたりと同時代の喜劇人たち」というページもあり、ラングドンはそこでも紹介されている名コメディアンで、ハリー&オリーも面白かったのでは?!と思ってしまいました。

    私は先日のブログでローレル&ハーディの芸風を「とんがった」とオブラートに包んだのですが、ケラリーノ・サンドロヴィッチさんはインタビューで「粘着質」と評したのには膝を打ち、新野さんがブログの「ローレル&ハーディ伝説 ④~『僕たちのラストステージ』応援作戦その3」内で「陰湿で排他的で不健康な笑い」とまで解説しているのには笑ってしまいました。

    そのようなわけで、世界三大喜劇王、チャップリン、キートン、ロイドと比べるとなかなか活弁の機会がなかったのですが、伝記映画公開を機に、私もネチネチした笑いに挑戦したいと思っています。是非、ご鑑賞の記念にパンフレットもゲットしてください☆

  • 5月3日は白石の帰りに渋谷アップリンクに直行しました。柳下美恵のピアノdeシネマ、お目当てはエルンスト・ルビッチュ監督の『陽気な巴里っ子』(1926)。2組の夫婦の不倫コメディ、 とにかく口説きまくる作品です。解説でご登場の喜劇映画研究会代表の新野敏也さんは「本作は窓とステッキがテーマ」とおっしゃっていて、上手で上品な前説だなぁ…と思わずメモしました。

    室内シーンが多いのですが、制作予算はキートン長編(「海底王」「セブン・チャンス」等)とほぼ同じくらいかかっているのだとか。どこにそんなにかかっているのかというと恐らく、奥様に怒られた夫が小さくなっていくシーンとのこと。CGのない時代、ちょっとずつサイズを大きくしたセットを作ったということでしょうか?!

    本作には当時の流行ものも多く取り入れられています。冒頭はいきなり『シーク』のルドルフ・ヴァレンチノのパロディー。ダンスホールではチャールストンを踊りまくります。映像効果とともにその迫力は圧巻。ダンスホールからラジオ中継されているのですが、これも周波数が整い全国的に聞けるようになったばかりのアイテム。ラジオを通して夫の裏切を知ることとなります。

    このように活弁しがいのありそうな作品で、いつかきっと弾き語り活弁したいとかねてより希望しており、『ルビッチ・タッチ』なども読んで勉強を始めておりました。でも本作はファミリー向け独演会スタイルではちょっと難しいので、大人向け公演の好機を狙っていきます。 そして本作は特に、人としてもっと成熟していないと活弁が難しい作品と思っております。柳下さんのピアノ演奏はとても洗練されていて、大人な空間を満席の会場で共有、笑いの絶えないひとときでした。

  • 4月19日(金)より新宿ピカデリー他全国順次ロードショー『僕たちのラストステージ』。無声映画からトーキーにかけて大人気だったローレル&ハーディの伝記映画とあって、喜び勇んでマスコミ試写初日に参上いたしましたら、ケラリーノ・サンドロヴィッチさんと緒川たまきさんご夫妻もいらっしゃっていたので、ちゃっかり記念撮影をお願いしました。Photo by 喜劇映画研究会・新野敏也会長。

    大人気と書いたばかりですが、物語は人気が下り坂になった二人を描きます。無声映画時代の二人しか知らなかった私はヒョウヒョウとすごいことやってのけるコメディアンの素の部分をしんみり鑑賞しました。太っているオリバーが腰痛に悩まされていたのは、すごく痛そうなネタの数々を思い出し、「そりゃ、腰痛くなりますよ…」と妙に納得でした。そしていつかやってくる自分のラストステージはどんな風になるのだろう?と初めて思いを馳せました。

    人気絶頂期の回想シーンはトーキー時代だったのですが、無声映画時代はさらに“とんがった”笑いを追求しています。『僕たちのラストステージ』をご覧になると、ローレル&ハーディについてもっともっと詳しく知りたくなると思いますので、私もいつかローレル&ハーディ作品を活弁したいと思っております。いや、きっとします。なので是非『僕たちのラストステージ』をご覧いただき、お二人について予習してください☆

    新野さんのブログに素晴らしい熱量で、本作について連載されています。「映画界」における《ボケとツッコミ》の始祖であるローレル&ハーディ、そして伝記映画の見どころについてネタバレなしの解説。とはいえ予備知識なしで観に行っても大いに楽しめる本作は、是非とも多くの方にご覧いただきたい名作です。
    (ブログをさかのぼっていただきますとお気づきかと思いますが、喜劇映画研究会の初代会長がケラリーノ・サンドロヴィッチさんだったのです。この日はスクリーンも客席も熱かった…!)

  • 東日本大震災から8年経ちました。ご近所さんからオススメいただいた『りすの四季だより〜家族の笑顔を守る暮らしの知恵』アウトドア防災ガイド・あんどうりす著が、目から鱗だらけだったのでご紹介します。いかに荷物を軽くするか、子供を楽に抱っこするかなど、日常生活にも役立つ情報がたくさん。詳細は是非本書を読んでいただきたいのですが、腕ではなく体幹を意識して抱っこすることでシェイプアップにもつながりそうです。

    っと、私が感激して感想をお伝えしたら、また別のご近所さんがオススメくださったのが『おかあさんと子どものための防災&非常時ごはんブック』草野かおる著・木原実監修、先の本と内容がかぶっておらず、こちらも今まで読んでいなかったことが怖いと思ったほどです。

    私は無声映画の知識は本からも得ようとしているのに、なぜこれまで生き延びるための知識を本で学ぼうとしてこなかったのかと反省しました。とはいえどちらの本も 「知識を得る」ことより、「いかに自分の頭で考え臨機応変に行動するか」を呼び掛けているのが、私の意識改革につながりました。

    昨年はご近所さん達と初めて講師をお招きしてAED講習を受けました。近隣住人の半数世帯がAEDの使い方を知っているという防災地域です。赤ちゃんの場合の力加減などを質問させていただきました。全員が人を呼ぶところからシミュレーションしたので、私はバリエーションをつけようと演劇魂を発揮(?)、お人形に向かって
    「まあ、胸毛の濃い方だわ…!」と言って、そのような場合の対処法も練習しました。

    写真は震災から3ヶ月後に出演した白石城でのチャリティーコンサート、この状況で本番中です。宮城県白石市観光大使として、今年も私なりにできる活動を続けます。


  • “いま最もチケットの取れない講釈師”神田松之丞さんの公演をようやく拝見することができました。おなじみ坂本頼光弁士がゲスト出演ではなおさら見たい!私は律儀に本名でチケット先行抽選に応募し、当選することができました。チケット即日完売しましたので、行けなかった方の恨みを買わぬよう申し添えておきます。

    松之丞さんもトークでおっしゃっていましたが、満席の有楽町朝日ホール、いったいどんな方が平日の昼公演に集まれているのか? 自由時間がほぼない現在の私にとってはなんと2年ぶりの舞台鑑賞、貴重な勉強の機会ということで、インスピレーション沸かせまくるつもりで気合いを入れて行きました。夜公演は全国の映画館でライブ生中継もあったそうですよ!さすがスケールが違います。

    昼公演はライブ中継がなかったので、放送禁止ネタばかりというあえて攻めた会でした。落語家・立川談笑師匠による「シャブ浜」は、有名な落語「芝浜」のシャブ版(笑)。坂本君は「サザザさん第5話」、ただでさえ放送できないサザザさんの中でも一番放送できない話数で私も初見だったのでたいへん得した気分でした。そして松之丞さんによる慶安太平記より「鉄誠道人」、大迫力の大熱演、生で観ることができて本当に良かったです。

    さて、本公演はTBSラジオ『神田松之丞 問わず語りの松之丞』Presents公演で、私は同番組も欠かさず拝聴しております。松之丞さんが、他の番組では聞いたこともないような、聞いているこちらが心配になるけれど笑ってしまうようなふりきれた毒舌でしゃべり倒す30分。演芸界や話芸についても勉強になることばかりです。

    現在、バラエティーなどのテレビ番組にも引っ張りだこの松之丞さん。本公演もカメラが密着していました。連日のすさまじい公演数、大物タレントさん達と共演し続けるプレッシャー、真打昇進披露興行も控え、さらに我が家より小さいお子さんがいらっしゃる中、喉を壊さず過密スケジュールをこなしていることが、その舞台裏の様子が少しでもわかる身としては、ただただすごいです。

    最後に…落語・講談と同時に鑑賞したことで、“活弁の良さ”も再認識できたことが嬉しかったです。 この鑑賞経験を糧にまた頑張ります。

  • サンドのこれが東北魂だ ニッポン全国!アツいぜ!おでん(東北放送制作)
    3月9日(土) 13:05-14:00 TUFテレビュー福島にて再放送です。写真は合成スタジオで収録した際、東北放送のキャラクター ・ニューニューと♪ 先週の『ポチっと発明ピカちんキット』も偶然、おでん種をテーマにポチローが奈落の底に突き落とされるお話でしたね(笑)

    相変わらず新幹線によく乗っています。先日、他の女性の乗客の方に
    「ちょっといいですか?」と言われ、何かと思ったら、セーターの背中についていたシールをはがしていただきました…。出かける前、今日はやたらと娘に背後をとられているなとは思っていたんですよ…。

    無声映画の資料以外にも、 新幹線の中で読書するのが楽しみです。山崎ナオコーラさんのエッセイ『かわいい夫』、このご夫婦のその後も気になり同じくナオコーラさんの『母ではなくて、親になる』。

    同じ「山崎」で生まれた年も同じ、出産した年も同じ、名前がカタカナ同士で、申し訳なくもたまに混同される(?!)芥川賞作家の山崎ナオコーラさん。独特の視点と赤裸々なエッセイもたいへん面白いです。もしかしたらナオコーラさんにとっては不本意な感想かもしれませんが、私は度々「ナオコーラさんは立派だな、偉いな」と思いました。現在進行形で自分の生活や考えをつまびらかにオープンにする作家さんのサガに畏怖の念をいだきます。お蔭で私は心豊かな移動時間を過ごさせていただいております。

  • 3月25日の第728回無声映画観賞会では、15年振りくらいに『忍術千一夜』(1939年、大都映画)を活弁いたします。松方弘樹さん、目黒祐樹さんのご両親、若き日の近衛十四郎・水川八重子がご出演。

    『幻のB級!大都映画がゆく』本庄慧一郎著(2009年、集英社)を『弥次喜多 岡崎猫退治』の活弁以来、楽しく読み直しました。そして今回は本書の参考文献に出ていた『巣鴨撮影所物語―天活・国活・河合・大都を駆け抜けた映画人たち』渡邉武男著(2009年、西田書店)もたいへん興味深く読みました。

    大都映画の前身である河合映画を作った、全身彫り物だらけ(!)の河合徳三郎社長のワンマンぶりがとにかくすごい…!社長の前でオナラをしてしまった大物俳優は退社を命じられ、映画化の原作料なんてなんのその、映画業の傍ら政治家に転身した際には試写室に所員を集めて演説のリハーサル、よその撮影所に移籍希望の俳優には子分たちがピストルやナイフで脅したり実際に…これ以上は書くのも恐ろしい…!今ではとても許されないその豪快さで、年100本もの量産体制を確立していったのです。

    そんな大都映画から生まれたのが痛快B級特撮忍術映画『忍術千一夜』。撮影所の雰囲気も伝わるような豪快な台本が書けたら…なんて思っております。なので、本日の偉そうな写真はご容赦くださいませ。一応、鑑賞会のチラシを持っています。

  • 55㎡までの心地よいコンパクト暮らし』大橋史子著(2018年、朝日新聞出版)を読みました。数々の写真がステキなのはもちろん、読み物としてもたいへん面白かったです。

    ご夫婦&お子さんの4人暮らしのご家族もご登場。在宅でお仕事もなさっている方が多いことに感心しました。ご自宅でお教室を開いていらっしゃる方もいるのです。

    細かいことの積み重ねで、台所に食器カゴをおいていないご家庭が多めでした。私は食器布巾を頻繁に消毒するのがたいへんなので、食器洗い機の乾燥機能もあれど、やはり一時乾かし所が必要です。でも、哺乳瓶を使っていたころの流れで食器カゴが今も2つありました。これを一つにしたところ、食器カゴの消毒の手間が減り、台所の作業場も広くなりました。食器カゴが1つになった分、炊飯器やボール、フードプロセッサーなどはコンロにおいて乾かすようになりました。見渡せば不要なものはまだあるものです。

    我が家も決して広くありませんが、本書にもある通り、狭い家には利点もあります。相変わらず自室がない中、育児の合間に事務作業、創作活動の合間に家事…という感じなので、部屋の移動がないのはたいへん効率的です。エアコン一つであちこち暖まるのもいいです。物を買う時、「これが本当に欲しいのか?」ではなく、「持ち帰ったところで家にしまう場所はあるのか?」と考えると、買い物が減りました。

    ちなみに本日の写真は我が家です…と言ってみたいところですが、こちらもまた先日のRakuten Evangelist Party 2019にて、たいへん素敵な控室でした。

    サンドのこれが東北魂だ~ニッポン全国!アツいぜ!おでん』が沖縄・琉球放送にて2月19日(火)14:50~再放送です。私は面白おでん学のコーナーを担当、沖縄の方にこそご覧いただきたいおでんトリビアもご紹介しております^^

  • ルビッチ・タッチ』 ハーマン・G・ワインバーグ著/宮本高晴訳(2015年、国書刊行会)を読みました。『結婚哲学』や『ウィンダミア夫人の扇』、また先日ご紹介した『花嫁人形』など多くの無声映画、そしてトーキー時代に入っても名作を残した巨匠エルンスト・ルビッチ監督。

    その特徴的な作風は「ルビッチ・タッチ」と呼ばれました。「ルビッチ・タッチ」を一言でご説明するのが難しく、本書の中からヒントになりそうな箇所をまとめてみます。

    ●ほのめかしの名手
    ●“ギャグ”のそのひとつの変型
    ●スラップスティックやバイオレンスに頼らない
    ●独立した笑いのネタではなく、ストーリーと分かちがたいもの
    ●チャップリンがコメディのきらめきをもつドラマを作り上げたのに対して、ルビッチはドラマのきらめきをもつコメディを作り上げた
    ●主導権を握るのは主に女性
    ●好色は罪ではなく魅力であって、浮気は病いではなくほんの出来心
    ●誰の目にも明らかな故に、間接的に笑いを生みだす磨き抜かれた演出法

    なんだかとても面白そうですよね。いつかルビッチ作品に挑戦できることになったら、このメモを読み返そうと思います。ちなみに私は過日のブログで「大人の香り漂う喜劇」と評しました。

    全536ページ、分厚い本を持って出張しました。さらにこの日は娘が保育園にぬいぐるみも連れて行くと言ってゆずりませんでした。保育園にそのまま預けるわけにいかず、分厚い本だけでなく、ぬいぐるみも私と一緒に新幹線に乗り込みました(笑)

    写真は先日のRakuten Evangelist Party 2019で、ルビッチ・タッチ風のポーズ?
    朝日新聞「私の好きな新書」の記事が「好書好日」にも掲載され、ご登録なしで無料でご覧いただけるようになりました。

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