レフ・クレショフDVD

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昨年の夏に活弁した『ボリシェヴィキの国におけるウエスト氏の異常な冒険』(1924)を含む3作品が入ったレフ・クレショフ傑作選DVD-BOXがとっくに発売中です。ようやく全部見ました。本DVDには活弁は入っておらず、素敵な音楽とともに収録されています。

レフ・クレショフとはロシア映画界のみならず、世界の、そして現在にも通じる映画編集方法に影響を与えた人物です。「クレショフ効果」なんて言葉もあります。他2作品はボリシェヴィキ~のコメディーと全く作風が異なります。

『掟によって』(1926)は黄金の採掘現場という世間から隔離された空間で、メンバーから虐げられた男がついには殺人をおかし、生き残った男女二人と殺人犯の奇妙な共同生活を描いたサスペンス。この間、もはや誰も採掘はせず、ひたすら閉塞感と緊迫感が漂います。女は英国法に基づき裁判をしてから、男を裁くことにこだわります。しかし裁判官は自分たちが務めるという不条理劇。こういう点は、資本主義国を強く意識したボリシェヴィキ~のナンセンスさと通じるかもしれません。驚きの結末は是非DVDをご覧あれ。

と言いつつ私が一番驚いたのは配役です。私が度々活弁している『帽子箱を持った少女』(1927)の通称“駅員くん”役のウラジーミル・パーヴロヴィチ・フォーゲリが殺人犯を演じているのですが、まるで別人です。見た目で違うのは口ひげを生やした程度なのですが、動き方から人相から、とにかく言われても同一人物とは信じがたいです。実は彼は一連の映画出演後、自殺してしまうのですが…、それだけ役に入り込んで神経をすり減らしてしまったのでしょうね…。この話をすると駅員くん見ても笑えなくなると思い、前説では言わないようにしてきたのですが、なんとも惜しいです。

『二人のブルディ』(1929)は反革命と革命派との内戦が続くロシアで暮らす、ピエロ父子の物語。サーカスは楽しいものですが、映画では悲しみをもって描かれることが多いですね。チャップリンの『サーカス』が公開されたのはこの前年ですが、初めて映画に物語としてサーカスが登場したのはいつだったのでしょう。

本作はクレショフ効果の真骨頂。サーカスの劇場を舞台に繰り広げられる逃走劇は、今見ても大迫力の手に汗握る編集です。本作もやはり、活弁がついているともっと時代背景のことなどもわかるのかもしれませんが、ピアノ演奏の超絶技巧の素晴らしいこと!一見&一聴の価値ありです。

2014年7月15日

コメント

ジョー2014年7月19日

バニラさんの「ボリ冒」はもう一度見たいです。喜劇的共産趣味は面白いw

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