『弗箱シーモン』失われたシーン
第786回無声映画鑑賞会
ラリー・キートン・チャップリン 新春ニコニコ大会
1月30日(火)18:30開演 日暮里サニーホール コンサートサロン
追記:前売券完売しました。ありがとうございます!
『弗箱シーモン』は2020年にロストフィルムと判明し、マツダ映画社が最長版の43分保存していることがわかりました。24コマ再生ですと、本来は58分ほどだったはずだと、喜劇映画研究会代表の新野敏也さんがフィルム情報を元に計算してくださりました。
あまりヒットはしなかったようですが、大正15年発行の雑誌「映画世界」では絶賛されていると、フィルムコレクターの三品幸博さんが教えてくださりました。その記事にはなんと、失われたオープニングシーンが紹介されているではありませんか。
“急行列車の前をスーッと横切つてくる自動車、なかには平然とすました顔でラリーが乗つかつてゐるのです”
クライマックスの機関車と車の追っかけシーンの伏線があったようですね。マツダ版には中間字幕がありませんが、犯人と疑われたラリー・シモンが“Stop, Look and Listen(待て、御覧なさい、そしてお聞きなさい)”と原題を叫んだシーンも紹介されている、資料的価値が非常に高い内容でした。
現存する最長版は、43分にわたり中間字幕がない無声映画ということで、弁士の裁量に任される部分の大きい作品です。坂本真理さんは楽士のお立場から、本作を解説してくださっていますので、「『弗箱シーモン』楽士のつぶやき」も是非ご覧ください。
本日の写真は三品幸博さんにご提供いただきました大正15年の「キネマ旬報」『弗箱シーモン』のカラー広告です。
タッチの南ちゃんが来るのを首を長~くして待つのが「南待ち奉行所」だったりして。。。古い映画のフィルムを大切に保存するのって思った以上に大変なことだと思います。新野さんの情報はいつも心強いですね。