それとは違う小津安二郎

私は20年前に弁士デビューし、『大人の見る絵本 生れてはみたけれど』にたいへん感銘を受け、いつか活弁したいと宣言してまいりました。そんな中、小津安二郎紹介展示コーナーが常設されている古石場文化センターでの公演の機会をいただき、また昨年『それとは違う小津安二郎』という高橋行徳先生によるご著書が出版され本作の詳細な解説を拝読することができ、機は熟せりと、自分で思い込んでしまいました。

『それとは違う小津安二郎』 はまるで弁士の台本作りの教科書のような本で、無声映画はここまで読み解いていくべきなのだと、もはや付箋の意味がないくらい、ほぼ全ページに付箋が貼り付けられました。本書の出版社である鳥影社にお手紙を出し、高橋先生にもお喜びいただけました。

もちろん自分の解釈やこだわりを優先にしつつも、“それとは違う”令和時代ならではの『生れてはみたけれど』になり、毎年8月、終戦の時期に合わせて語り継いでいけるようになったら…と新しい目標もできました。

本書では『生れてはみたけれど』の他に『東京の合唱』もたいへん丁寧に解説されています。『東京の合唱』は先日、最前線無声映画 第7弾(弁士:片岡一郎/音楽:菊地成孔/司会・解説:アーロン・ジェロー)で上映されたものが配信で8月29日までご覧いただけます。この配信と合わせて本書を読み、私はなんとも豊かな時間を過ごせました。

サイレント映画の旅『陽気な巴里っ子』 ご予約受付中です♪
9月6日(月)18:30開演 (18:00開場)
■会場:壱岐坂ボンクラージュ 
■演目:エルンスト・ルビッチ監督『陽気な巴里っ子』(喜劇映画研究会所蔵・1926年米国)
■出演:山崎バニラ(活弁・ピアノ演奏)/新野敏也(解説) 

それとは違う小津安二郎” に対して1件のコメントがあります。

  1. TAKAじい より:

    ジョバンニが序盤に勝負を決めました(銀河鉄道の夜より?)。。。バニラさんの活弁台本作りへのたゆまない努力にはいつも頭が下がります。これからも素敵な活弁 期待しています!

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