原作小説『母』鶴見祐輔著

9月10日(土)『山崎バニラの「蒲田モダンことはじめ」』でネタおろしする無声映画『母』(1929年)には同じタイトルの原作小説があります。鶴見祐輔さんによって1927年から2年間、雑誌『婦人倶楽部』に連載されました。

つまり連載中か終了直後の映画化で、小説とエンディングが違います。小説は登場人物それぞれの理屈や価値観の描写がより深く、昭和初期の女性たちが主人公・朝子の人生をハラハラドキドキ見守った様子も想像しながら読み進めました。

今年『奇傑ゾロ』をネタおろしした際、初めて原作小説がある作品の活弁台本を書きましたが、偶然にも2本続けて原作がある無声映画に携わることになりました。

洋の東西を問わず、映画産業初期から小説の映画化の手法が確立されていた印象を受けました。さらに『母』はフィルムが半分ほどしか残っていないので、原作の良さもどう生かすかが弁士の腕の見せ所となると思います。

現代のお客様の感覚に合わせ、無声映画を若干早回しで上映することが多い私が、マツダ映画社にご協力いただき、今回は初めて遅めでたっぷり語ることにしました。無声映画全盛期の弁士が自分が朗々と語るために映写技師にフィルムをゆっくり回転するよう指示した気持ちが初めてわかりました。

独演会「活弁大絵巻」だったら思いつかなかった演目ですが、松竹蒲田撮影所作品から選んだお蔭で新たな挑戦をしています。モールのカチューシャは娘が作ってくれました。『母』という作品を通して、自分も見つめ直しています。

原作小説『母』鶴見祐輔著” に対して1件のコメントがあります。

  1. TAKAじい より:

    上戸彩ちゃんがゲラだったらまさに笑い上戸(じょうご)っすね。。。物語のもともとのフィルムが残ってない部分を弁士自身の裁量で創造してゆく作業は弁士冥利に尽きるのかも知れませんね。

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