カツベン映画祭「イバニエズの激流」
第3回カツベン映画祭、お足元の悪すぎる中、どの回もほぼ満席のご来場、まことにありがとうございました!私は交通トラブルも心配で朝から参上。A~Cプログラムを鑑賞後、自分の出番に備えました。
一夜明けてもBプログラム「イバニエズの激流」が印象に残っています。今年弁士デビュー10周年となる山内菜々子弁士の渾身の活弁でした。絶世の魅惑的大女優グレタ・ガルボのデビュー作だそうで、無声映画ならでは(?)鼻を大きくしたり小さくしたりして気持ちの高ぶりを表現するのはすでに健在でした。
相手役のリカルド・コルテスの突然の老けっぷりにはびっくり。メイクだけでなく表情と佇まいで、実際に何年もかけて撮影されたかのようで、最初私は別人かと思ったのですが、同一人物だとわかったときの会場全体の息をのむ空気が「これぞライブ」でした。
一方の変わらぬ美貌を持ち続ける、物語の中でも大スターとなったグレタ・ガルボ。映画のエンディング、弁士として朗々とうたいあげるでもなく、ガルボの気持ちを代弁するでもなく、菜々子弁士はなんとガルボの取り巻きの羨望の声をたたみかけるように、ガルボの表情のアップに向けて、スクリーンの外から投げかけ続けました。これが実際のガルボの孤独を浮き立たせる非常に効果的な演出で、無音で見るのとは余韻が全然違う!お見事でした!!
カツベン映画祭初出演の丹原要さんの演奏もブラボー!特にガルボの歌声が入ったレコードを再生したシーンの「カルメン」。有名なメロディーをガルボの声が聞こえるような素敵なアレンジで演奏しつつ野外パレードへの音楽の移り変わりのなんと鮮やかなことか!
本作は男女で意見が分かれそうで、菜々子弁士はリカルド・コルテスをもっと突き放す気持ちだったそうですが、丹原さんはコルテスに寄り添ったとても優しい旋律で、それが一筋縄ではいかない恋模様を実によく表現していました。終演後楽屋で充実の表情で振り返るお二人に、大森くみこ弁士と一緒に混ぜていただき、とてもいいひと時でした。
私が担当した『ロイドの要心無用』はうって変わっての傑作コメディ、大笑いをありがとうございました!
解体新書を翻訳したターヘル・アナトミアは今「買いたい新書」ですぅ。。。豪雨の中での映画祭たいへんご苦労様でした。グレタ・ガルボは自分が学生のころ名前だけ知っていて「ガルボが非行に走ったら”ぐれたガルボ”」とかダジャレを言ってました。お写真に写る「武蔵野館」のロゴがかっこいいですね。