TIFF雄呂血<4Kデジタル修復版>

第36回東京国際映画祭に観客としてうかがいました。『雄呂血』<4Kデジタル修復版>1925年封切り。二川文太郎監督/阪東妻三郎主演。坂本頼光弁士による生の活弁。音楽は清水靖晃さん作曲によるオーケストラの録音版。

鮮明な映像のお蔭で殺陣のシーンに改めて驚愕。空撮が定点からだけでなくなめらかに横移動もしています。今と違って巨大で重たい撮影カメラ。矢倉か何かを立てて、カメラを運び上げ、キャスター付きの台の上に乗せるなどして撮影したのでしょうか?!カメラのこちら側にいるスタッフさん達の情熱も一気に押し寄せました。

そして、立ち回りをしている群衆に向かって、四方八方から投げ込まれ続ける屋根瓦。飛び方を見ても、実際に屋根瓦並みの固い物だと思います。皆、超人的な反射神経で避けながら切り合いをしているのでしょうか!?さすがに合成だとしても…、だとしたら、フィルムの編集技術にも驚きです。

ソ連映画界のモンタージュ撮影に影響を受けたであろう、1~2秒間に何回も切り替わるショット。これを小出しにするのではなく、一番効果的なシーンでのみ使っているのも粋です。これほど細かい編集をフィルムでするのはなんと繊細な作業であったことでしょう。さらに該当のフィルムは特にデリケートなはずで、この名シーンが残っている奇跡に胸がいっぱいになりました。

録音ならではの豪華な劇伴は「善人の皮をかぶった悪人」「世間からならず者と呼ばれる善人」勧善懲悪とはいかはない悲壮感を見事に表現。日本らしさとか、懐かしさをあえて排除した音楽に天国の二川監督もさぞお喜びであろうとまで思います。

その音楽が大音量になるラスト、すでに1時間50分語り続けている坂本君が音楽に負けじと声を張り上げる様子は、マイクがなかった頃の往年の弁士が乗り移っているかのような凄みを感じました。

子供のお迎え時間の都合で、泣き腫らした顔のままトークショー前に失礼し、写真はマツダ映画社様からお借りしました。

TIFF雄呂血<4Kデジタル修復版>” に対して1件のコメントがあります。

  1. TAKAじい より:

    天ぷら、まさか1000度で揚げたら鮮度が落ちちゃうよ。。。坂本頼光さんの活弁、きっとすごい迫力だったンだろうなと伝わってきました。

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